千変万化のローズの世界~系統と品種~

<目次>

●2500年前から続くバラの研究と歴史
●生命力を感じる原種系ローズ・日本の原種から生まれたつるバラ
●歴史と文化が香るオールドローズの系統
●モダンローズの親になった四季咲きの系統

 

2500年前から続くバラの研究と歴史

古代ギリシャで医学の父・ヒポクラテスがバラの研究を始めてから2500年後の今でも、
多くの研究者たちはバラが持つ魅力の秘密を解き明かすため調査を続けています。

現在約5万種以上あると言われるバラの品種ですが、その源はたった9種類のバラだそうです。
それだけ、たくさんの人の手と時間をかけて広がってきたということ。
そんなバラの世界を少し覗いてみませんか?

生命力を感じる原種系ローズ・日本の原種から生まれたつるバラ

原種/スピーシーズ

人の手が入っていない原種。150~200ほどあり、北半球にのみ自生しています。
華美なイメージの「薔薇」より、「野ばら」という方がしっくりくる素朴な味わいが楽しめます。

日本原産のノイバラ

剣弁咲とティ香の祖先となったロサ・ギガンティア

ハイブリッド・ルゴサ

日本で「ハマナス」と呼ばれる原種バラが自然交配して生まれた系統で
「ジャパニーズローズ」とも呼ばれます。東北にも自生できる耐寒性が特徴。
実はローズヒップとして食用にされています。

鮮やかな赤のフラウ・ダグマー・ハストラップ

ロサ・ルゴサ“アルバ” 白色のハマナス

ランブラー

日本の原種テリハノイバラから改良された系統。
よく枝を広げ、小ぶりな花をいくつも咲かせるので大掛かりなガーデニングをする際に好まれます。

つるバラの名花アルベリック・バルビエ

ローズトンネルの頭上に咲くマニントン・マウブ・ランブラー

●歴史と文化が香るオールドローズの系統●

ガリカ

歴史上最も古くから栽培されていた種とされ、香料や薬用に使われていたそうです。
「赤薔薇の祖」とも言われる品種で、ピンク~赤の鮮やかな色を楽しめます。
古代ローマ時代は「ガリア」と呼んでいたのが現在では「ガリカ」となり、
別名である「フレンチローズ」の由来はフランス南部地方が自生地だったためです。

少し明るい赤のトスカニー・スパーブ

アルバ

ガリカと対をなす「白薔薇の祖」と言われる品種で、
花びらの白さと葉の青みがかった緑色とのコントラストがアルバ種独特の美しさと言われています。
古代から「純潔」の象徴だったバラのイメージにピッタリだと思います。

グリーン・アイが可愛らしいマダム・プランティエ

ダマスク

バラを代表する圧倒的に優れた香りを持つ系統です。
ガリカとそのほか原種バラとの自然交配によって生まれ、紀元前から栽培されていました。
薄ピンク~濃ピンクの花をつけ、花弁の形は丸くどこか素朴な雰囲気を残しています。

筆者ベランダで咲いたロサ・ダマスケナの花

作出者が妻に捧げたマダム・アルディ

ケンティフォリア

直訳すると「100枚の花弁」。キャベッジローズの名前からも推察できる通りに、
密に重なった花びらの重さにしなだれる姿は抒情的で存在感があります。
香料用にも栽培され、古くはアブソリュートはこの種からのみ作られるものだったそうです。

優雅な姿も香りも愛されるロサ・ケンティフォリア

モス

ロサ・ケンティフォリアの突然変異から生まれた系統で、
枝や蕾に苔(モス)のような細く密集した棘や繊毛が生えているのが特徴です。

棘がついた蕾の形が「ナポレオンの帽子」に似ているシャポー・ドゥ・ナポレオン

ポートランド

初めて西洋のバラと東洋のバラをかけ合わせてできた系統と言われています。
オールドローズの華やかな趣がありつつ返り咲く性質が人気です。

華やかな赤ピンクのローズ・ドゥ・レッシュ

ブルボン

一季咲きのものが多いのですが、初心者でも育てやすい上にカップ咲きやロゼット咲きなど
繊細な花形と幅広い色を持つ品種が多く人気の系統です。
ブルボン島で発見されたためこの系統名で、お菓子メーカーは一切関係ありません。

絞り染め模様が美しいヴァリエガータ・ディ・ボローニャ

ハイブリッド・ムスク

20世紀に確立された系統で、返り咲き性と耐寒性を持ち、幅広い園芸家に好まれています。
モダンローズの優れた特徴を多く持ち、色や姿は多岐に渡ります。

2012年にバラの殿堂入りしたサリー・ホームズ

ノワゼット

花付きが良く、蜜のような甘い香りが特徴。白~淡い色彩の花が多く、日本でも人気の系統。

透き通るような白さのマダム・アルフレッド・キャリエール

ハイブリッド・パーペチュアル

19世紀半ばに生まれた系統で、大輪で強い品種を求めて様々な交配が試みられました。
700以上の品種が存在し、四季咲き(パーペチュアル)は叶わなかったものの、
大振りで目を引くような美しい品種が数多く生まれました。

堂々とした咲きぶりのポール・ネイロン

モダンローズの親になった四季咲きの系統

チャイナ

完全な四季咲き性を持ち、この性質を他のバラでも再現するため様々な品種の親になりました。
薄ピンク~鮮やかな赤まで花色や香りの強弱にも幅があります。

庚申バラの特徴を持つ葡萄紅(プタオホン)

ティー

爽やかな紅茶の香りが最大の特徴ですが、黄色味が入った落ち着いた色味や
少々大振りで尖った形の花弁など気品ある見た目にもファンの多い品種です。

目にやさしい色味のレディ・ヒリンドン

ハイブリッド・ティー

オールドローズのハイブリッド・パーペチュアル系とティー系の交雑によって生まれた系統で、
四季咲き性モダンローズの草分けとなった「ラ・フランス」をはじめ、個性的なバラが揃っています。

20世紀を代表する名花のピース

ポリアンサ

日本の原種ノイバラとロサ・キネンシス・ミニマとの交配で生まれた四季咲きの系統。
春から夏にかけて小ぶりな花がたくさん集まって咲く姿に、再び人気が集まっています。

小ぶりな花が愛らしいマザーズデイ

フロリバンダ

花束を意味するフロリバンダは、花付きの良さ・株としての完成度の高さで人気の品種が多い。
「アイスバーグ」など、庭園をつくるのに欠かせない名花も生まれています。

次々に花をつけ楽しませてくれるアイスバーグ