産地で違う?ブルガリアンローズと世界各地のダマスクローズ

<目次>

●自然が生んだ奇跡のバラ ダマスクローズとは
●ブルガリア産ダマスクローズ
●トルコ産のダマスクローズ
●イラン産のダマスクローズ
●イラン産のダマスクローズ

●自然が生んだ奇跡のバラ ダマスクローズとは●

元々、バラは花姿の美しさを競って品種改良が行われることが多く、
現在5万品種以上あると言われるバラは園芸品種がほとんどを占めているそうです。
(ちなみにバラは自然に生まれた種をもとに人の手で創り出された品種が多く、
世界で最も品種が多い植物と言われているそうです。)

それだけ熱烈に愛されてきたバラですが、5万種ある中で香料の原料となるのはダマスク種のほか、
ケンティフォリア種、アルバ種、ガリカ種など古くからある希少な系統の種だけとなっており、
とりわけダマスク種は最も香り高い品種としてブルガリアやトルコなど世界各地で栽培されています。

バラ栽培の歴史上、最も古い種はロサ・ガリカの系統とされており、
ロサ・ダマスケナもロサ・ガリカとロサ・フェニキアが自然交雑種して生まれた野生種です。
自然にこんな素晴らしい香りの品種が生まれたのは、まさに奇跡、神秘だと思います!
精油として用いられるのは、ロサ・ダマスケナが中心ですが、
ロサ・ダマスケナが代表するダマスク種には各国の園芸家が交配を進めた品種がいくつもあります。

ダマスク種には ロサ・ダマスケナ・ビフェラ、ロサ・ダマスケナ・セルシアーナ、カザンリク、
イスパハン、レダ、ヨーク・アンド・ランカスターなどいくつもの品種があり、多くは
ロサ・ダマスケナの特徴(強いローズの香り、丸い花弁、薄ピンク~濃ピンク色)を引き継いでいます。

一方で、19世紀にフランスの園芸家が妻のために作ったマダム・アルディなどは
純白の花弁にレモン調の香りといった今までのダマスク種にない新しい一面を見せつつ
完成度の高い品種として世界的に高く評価されており、ダマスク種の今後の進化も楽しみです。

●ブルガリア産ダマスクローズ●

香料用に栽培されるダマスクローズの中でも、世界中の調香師から逸品と称されるのが
ブルガリア産のダマスクローズ、通称「ブルガリアンローズ」。
ブルガリアンローズの精油は他の地方のものより、強く美しい香りを持つと言われています。
「香りの美しさ」はとても主観的で数値化も困難な基準ですが、
現在研究が進められている精油の微量成分にその秘密があるようです。

ダマスクローズの精油は、シトロネール、ゲラニオール、ネロール、メチルオイゲノール、パラフィンの
5つの成分が8~9割を占める一方で、500近い種類の成分が残りの1~2割に含まれているそうです。
精油の産地で微量成分の割合を比較すると、ブルガリア産が約15~20%、トルコ産は5~10%で、
このように含まれる微量成分の量が香りの違いに影響しているとの見方があります。

「ブルガリアンローズ」のブランドには、
ダマスクローズの栽培に最適なブルガリアの谷の土地・気候などの自然条件だけでなく、
生産に関わる人の品質を守る努力が欠かせません。

ブルガリアではローズ精油の生産を国営で行っていた1927年に国立バラ研究所を設立しており、
国営でなくなった今もほとんどのバラ農家は研究所で蒸留したローズ精油の鑑定を受けています。
ブルガリアンローズの精油作りはバラの谷と呼ばれるカザンリク地方を支える産業となっており、
毎年5月の収穫を祝うお祭りには世界各地からたくさんの人が集まります。

●トルコ産のダマスクローズ●

トルコ産はダマスクローズの香りの中にオリエンタルっぽい中東の香りだそうです。
19世紀からバラ栽培を続けているトルコのウスパルタ県はダマスクローズの名産地として、
市内は名産のローズを使用したお店が数多く並んでいるそうです。

ブルガリアのように国立の研究機関はないようですが、バラ生産協同組合があるほか、
地元企業が独自ブランドで製品を作っていたり、ヴェレダのように農場と直接提携した民間企業も多く、
それぞれ独自に品質管理を行っているようです。

●モロッコ産のダマスクローズ●

モロッコ産はダマスクローズのセントフォーリア系の甘い香りが強いそうです。
少し重たく、「蜂蜜のような香り」と言う人もいるようです。

モロッコの「バラの谷」と呼ばれるムゴナという町の名産で、
組合が無農薬栽培など生産方法にもこだわったローズ製品をつくっているそうです。
砂漠に近いそこの町の女性は、ローズウォーターを使って乾燥から身を守るために
肌や髪に吹き付けて保湿していたそうです。

●イラン産のダマスクローズ●

イラン産はブルガリアンローズと比べると香りが全体的に弱めだそうです。

イラン中部のカーシャーンは蒸留技術が生まれたところとされています。
ヨーロッパで香水づくりのための精油が重用されましたが、古くから儀式や薬用で
バラを使っていたアラブ地方ではむしろ日常的に使えるローズウォーターの生産がメインで、
ローズ精油は副産物として扱われるほどだったそうです。
ローズウォーターを飲用することも若々しさの秘訣とされています。

そのほか、フランス、エジプト、中国、はては日本でも香料用としてダマスクローズの栽培が
されているそうですが、流通量が少ないためか、どんな特色があるかは不明です。
機会があればぜひ試してみたいですね~